アジリティにおいて、コースタイムを縮めるための鍵は「最短距離を走ること」です。特に、障害を跳んだ後に180度に近い角度でターンしなければならない場面で、いかに犬を減速させずにタイトなターンをさせるかが勝負の分かれ目となります。その強力な武器となるのが「ジャーマンターン」です。今回は、この少し変わった名前のハンドリングテクニックの基本と、タイトなターンを習得するための練習方法を解説します。
ジャーマンターンとは?アジリティの必須ターン技術を解説
ジャーマンターンは、犬がジャンプ障害を飛越した後、ハンドラーがいる側とは反対のウィング(支柱)を回り込んで、ハンドラーの前に出てくる動きを指します。下の図のように、ハンドラーは進行方向を変えずに走り続けながら、犬だけをコンパクトにターンさせることができるため、S字のシークエンスや、障害を裏側からアプローチさせたい時に非常に効率的です。

フロントクロスやリアクロスのようにハンドラーが犬の走路を横切る必要がないため、ハンドラーの負担が少なく、犬のスピードを最大限に活かすことができます。
ジャーマンターンを成功させる3つの鍵【犬との連携が重要】
ジャーマンターンは、ハンドラーと犬の正確なコミュニケーションが求められるテクニックです。成功のためには、以下の3つのボディランゲージが鍵となります。

1.減速と収集のキュー: ジャーマンターンはタイトなターンを要求するため、障害に進入する前に犬をしっかりと収集(コレクション)させる必要があります。障害の数歩手前でハンドラーが減速し、胸を犬に向けることで、「ここで曲がるよ」というサインを送ります。
2.犬から遠い方の腕(アウターアーム)での指示: 犬が障害を飛越する瞬間、ハンドラーは犬から遠い方の腕(アウターアーム)を、犬を回り込ませたいウィングの方向へ伸ばします。この腕の指示が、犬にターンの方向と半径を伝える最も重要なキューとなります。
3.ハンドラーの前進: 犬がターンを始めたら、ハンドラーは躊躇なく次の障害に向かって走り始めます。ハンドラーが前進することで、犬は「そっちに行けばいいんだ」と理解し、ハンドラーを追いかけて加速します。ここでハンドラーの動きが止まると、犬も混乱してしまいます。
ジャーマンターンの段階的練習方法|初心者から実践まで
ジャーマンターンは、いきなりコースの中で試すのではなく、段階的に練習することが成功への近道です。一つのジャンプ障害を使って、以下のステップで練習してみましょう。

•ステップ1:ウィングを回る練習(おやつやトイで誘導) まずはジャンプバーを地面に置いた状態で、おやつやトイを使って犬をウィングの周りに誘導することから始めます。ハンドラーは動かず、犬が自分の力でウィングを回り込むことを教えます。「アラウンド」などの声符を教えるのも良いでしょう。
•ステップ2:ハンドラーの動きと腕のキューを結びつける 犬がウィングを回ることに慣れてきたら、ハンドラーも動きを加えます。障害の手前で減速のキューを出し、犬がウィングを回り込むタイミングでアウターアームを使い、ターンを指示します。成功したら、たくさん褒めてあげましょう。
•ステップ3:バーを上げて実践 低い高さから徐々にバーを上げていき、実際のジャンプと同じ状況で練習します。ハンドラーは、犬がターンを完了したらすぐに次の方向へ走り出すことを意識してください。これにより、ターン後のスムーズな加速に繋がります。
まとめ:ジャーマンターンはハンドラーと犬の信頼の証
ジャーマンターンは、一見すると複雑に見えるかもしれませんが、その本質は「ハンドラーの明確な指示」と「犬のハンドラーへの信頼」です。犬はハンドラーのボディランゲージを信じて、見えない着地点に向かってターンします。このテクニックをマスターすることは、あなたと愛犬の絆が深まった証とも言えるでしょう。焦らず、一つ一つのステップを楽しみながら練習に取り組んでみてください。
参考文献
[1] OneMind Dogs. “OneMind Dogs Agility Handling Technique – German Turn”. YouTube.
[2] Anglian Dog Works. “German Turn”. Anglian Dog Works Blog.

